この記事の結論(先に要点)
・ESの土台は 「結論ファースト」「STAR/PREPで構成」「数値で具体化」 の3原則。
・理工系は 研究内容・研究概要書 が勝負どころ。「専門外の人が読む」前提で、専門用語を噛み砕いて書く。
・直近は 生成AIによるES均質化 が問題化し、書類選考を廃止する企業も出始めた。AIは「推敲・壁打ち」に使い、中身は自分の言葉で書くこと。
・文字数は指定の 9割以上を目安に埋める。提出前チェックリストで誤字・表記ゆれを無くす。
1. エントリーシート(ES)とは|履歴書との違い
エントリーシート(ES)は、選考の最初に提出する応募書類です。履歴書が「事実情報(学歴・資格など)」を記入する定型フォーマットなのに対し、ESは企業独自の設問に自分の言葉で答えるものだという違いがあります。
ESは書類選考の第一関門であり、ここを通過しないと面接に進めません。同時に、ESの記載内容は面接で深掘りされるため、「面接で語れる内容」を書いておくことが極めて重要です。
2. 【2026年最新動向】生成AIでESが均質化、書類選考廃止の動きも
ESの書き方を語るうえで、いま無視できないのが 生成AIの影響 です。事実として、以下の動きが報じられています。
- マイナビの「2026年卒 大学生キャリア意向調査(4月)」では、就職活動でAIを利用したことがある学生は66.6%(3人に2人)。利用方法は「ESの推敲」が68.8%で最多、次いで「ESの作成」が40.8%だった(出典:株式会社マイナビ ニュースリリース、2025年5月26日発表。調査は2025年4月実施、有効回答1,385名)。
- AIの普及でESの記載内容が似通う「均質化」が進み、ロート製薬は2027年4月入社(27卒)採用からESによる書類選考を廃止。代わりに、人事担当者との15分間の対話を選考の第一ステップとする「Entry Meet(エントリーミート)採用」を全国8拠点で導入した(出典:ロート製薬 ニュースリリース、2025年12月15日。報道:日本経済新聞・ITmedia等)。
これからは以下のようになっていくと考えております。
3. 書く前の準備|ESの9割は「設問を出す前」で決まる
いきなり書き始めると手が止まります。先に以下を準備しましょう。
① 自己分析:エピソードの棚卸し
学業・研究・アルバイト・サークル・個人開発など、「課題に直面して、工夫して、結果が出た」体験をリスト化します。自己分析のやり方は以下の記事で紹介しているので是非チェックしてみてください。

② 企業・職種研究:設問の意図を読む
企業はESで「自社で活躍できそうか」を見ています。募集職種が求める力(例:技術職なら課題解決力・論理的思考力・専門性)を把握し、自分のエピソードと接続します。
③ 設問の「本当に聞きたいこと」を言語化
ガクチカ →「課題にどう向き合い、どう動く人か」
自己PR →「強みは何で、それは自社で再現できるか」
志望動機 →「なぜ”その業界・その会社・その職種”なのか」
4. 全設問に共通する3原則
原則1:結論ファースト(PREP法)
最初の1文で結論を述べ、結論 → 理由 → 具体例 → 再度結論 の順で書きます。採用担当者は大量のESを読むため、結論が先にあると内容を理解しやすくなります。
原則2:STAR法でエピソードを構成
特にガクチカ・研究で有効なフレームです。
| 要素 | 内容 | 書くこと |
|---|---|---|
| Situation | 状況 | どんな環境・背景だったか |
| Task | 課題 | 何が問題で、何を目指したか |
| Action | 行動 | 自分が具体的に何をしたか(ここが主役) |
| Result | 結果 | どうなったか(できれば数値で) |
最も大事なのは A(行動) です。「チームが頑張った」ではなく「”私が”何をしたか」を書きます。
原則3:数値で具体化する
抽象表現は説得力を落とします。
「実験効率を大きく改善した」
「測定手順を見直し、1サンプルあたりの所要時間を 40分→15分(約60%短縮) に改善した」
原則4:文字数は指定の9割以上を埋める
少なすぎると熱意不足の印象を与えます。指定文字数の 9割以上を目安にしつつ、超過は厳禁です。
5. 3大設問の書き方|ガクチカ・自己PR・志望動機
5-1. ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)
STAR法で書きます。理工系は 研究・実験・チーム開発 を題材にすると、自己PRや志望動機とも一貫性が出ます。
構成例
結論:何に注力したか(1文)
課題:直面した壁
行動:自分の工夫(複数あれば最も効いた1〜2点に絞る)
結果:数値・状態の変化
学び:そこから得た再現可能な力
5-2. 自己PR
「強み → 根拠エピソード → 入社後の活かし方」の順。強みは1つに絞るのが鉄則です。理工系がアピールしやすい強みの例:論理的思考力、課題解決力、粘り強さ、データに基づく検証力、チームでの調整力。
5-3. 志望動機
最も差がつく設問です。「なぜその業界か → なぜその会社か → なぜその職種か」 を3段で詰めます。HPや説明会の受け売りだけでは薄くなります。自分の研究・経験と、その企業の事業・技術を具体的に接続しましょう。
最先端技術に挑戦している点に魅力を感じました
研究で扱った〇〇(手法)は、貴社の△△事業の□□という課題に直結すると考えています
6.【理工系の核心】研究内容・研究概要書の書き方
理工系のESで最も重要かつ差がつくのが、研究に関する設問です。ここを制すれば、面接の主導権も握れます。
6-1. 大前提:「専門外の人が読む」
研究内容を評価するのが専門家とは限りません。人事など専門外の人が読んでも理解できる平易さが必須です。専門用語は噛み砕き、必要なら一言で定義を添えます。
6-2. 求められる形式は主に3タイプ
- ES内の文字指定タイプ(例:300字/400字以内、図表なし)
- A4自由形式タイプ(A4で1〜2枚、図・グラフOK)
- 上記の併用(実際にはセット提出を求められることが多い)
6-3. 文字指定タイプの構成(300〜400字の型)
以下の順番が、専門外にも伝わりやすい王道構成です。
1.テーマ/対象:何を研究しているか(専門用語は定義を添える)
2.背景・課題:なぜ重要か、何が解決されていなかったか
3.アプローチ:自分がどんな方法で取り組んだか
4.結果:何がわかったか・できたか(数値があれば明示)
5.意義/応用:社会や産業にどう役立つか
例文(情報系・約300字)
私は、製造ラインの異常を画像から早期検知する深層学習モデルを研究しています。従来の検査は熟練者の目視に依存し、見逃しと判定のばらつきが課題でした。私は、正常データのみで学習する異常検知手法を採用し、欠陥サンプルが少ない現場でも使える設計を目指しました。実際の検査画像を用いた評価では、見逃し率を従来比で約30%低減しつつ、誤検知の増加を一定範囲に抑えることに成功しました。本手法は、検査の属人化を防ぎ、品質の安定とコスト削減に貢献できると考えています。
6-4. 評価されるポイント
・課題解決力・論理的思考力:研究を通じて、課題にどう向き合い解決したか
・専門性・スキル:使用ツール、実験・解析技術、論文読解力など
・協働・伝達力:指導教員や共同研究者とどう連携し、成果を伝えたか
・企業との接続:その力・専門性が、志望企業の事業でどう活きるか
6-5. よくあるNGと対策
・タイトルが専門的すぎて分かりにくい → 内容が伝わるタイトルに言い換える
・語尾の混在(です・ます/だ・である) → どちらかに統一(ESは「ですます調」推奨)
・一人称の揺れ → 「私」で統一
・結果がまだ出ていない → 問題なし。背景・目的・現在の取り組み・今後の見通しを書く
・深掘りの余白がない → あえて全部書き切らず、面接で語れる「もっと聞きたい」点を残す
7. 生成AIの賢い使い方と注意点
AIは正しく使えば強力ですが、丸投げは逆効果になります(第2章の均質化・選考廃止の動向を踏まえた見解)。
使ってよい(推奨)
・誤字脱字・表記ゆれ・不自然な日本語のチェック
・構成(PREP・STAR)への整え、冗長な文の圧縮
・「この設問の意図は?」「深掘り質問を10個出して」といった壁打ち・面接準備
避けたい(リスク)
・エピソードや志望動機をゼロから生成して丸写し(面接で詰まる)
・事実でない実績・数値の生成(経歴詐称リスク。深掘りで必ず崩れる)
鉄則:中身(体験・思考・数値)は自分、整え(推敲・校正)はAI。 AIが書いた文章は、必ず「面接で同じ内容を自分の言葉で語れるか」で検証する。
8. 提出前チェックリスト
・結論ファーストになっているか(最初の1文で言いたいことが伝わるか)
・指定文字数の9割以上を満たし、超過していないか
・数値で具体化できる箇所を抽象表現のままにしていないか
・専門用語を、専門外の人が読んで理解できるか
・語尾・一人称・西暦/元号などの表記が統一されているか
・入学・卒業年月、固有名詞(企業名・部署名)に誤りがないか
・各設問の内容を、面接で自分の言葉で深掘りに答えられるか
・第三者(研究室の外の人など)に読んでもらい、伝わるか確認したか
まとめ
エントリーシートは「うまい文章」を競う場ではなく、「自分の体験と思考を、読み手に伝わる形で渡す」作業です。理工系であれば、研究という強力な武器があります。結論ファースト・STAR・数値化の3原則で土台を固め、研究内容を「専門外にも伝わる言葉」で語れれば、書類選考も面接も大きく前進します。
AIの普及で「それっぽい文章」の価値が下がったいまこそ、あなた自身の体験に根ざしたESが効きます。まずは自己分析と研究概要のテンプレ化から始めましょう。
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※本記事中の統計はマイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査(4月)」(2025年5月26日発表)、企業事例はロート製薬ニュースリリース(2025年12月15日)等の公開情報に基づきます(いずれも2026年6月時点で確認)。制度や各社の選考方式は変更される場合があるため、応募時は各企業の最新の募集要項を必ずご確認ください。本文中の研究概要・ESの例文はすべて構成見本としてのフィクションであり、実在の人物・研究とは関係ありません。

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